芸術による教育
芸術による教育
『芸術による教育』
ハーバート・リード=著|宮脇理/岩崎清/直江俊雄=訳
発売日:2001年10月
本体価格:5,200+税
判型:A5判・上製
頁数:424頁
ISBN:978-4-8459-0124-1
感性と知性を統合させる、教育改革の原典!
今なお色褪せない美術教育の
古典的名著、11年ぶりに待望の復刊
芸術と教育というテーマは、
近年なおざりにされてはいないだろうか?
芸術は教育がなければ楽しめない。
そして教育は芸術がなければ
豊かなものにはならない。
──國分功一郎(哲学者)
教育の一般的な目的を、個々の人間に固有の特性の発達を促すと共に、引き出された個人的な特性を、所属する社会的集団と有機的な結合と調和させることであるとする。「芸術」を教育の基礎とすることを命題に、感性と知性を統合させる教育改革の原典から、生物学、心理学、生理学、社会学、哲学の諸分野を横断。21世紀の美的教育の役割を立証した、いままさに必要とされる世界の教育関係者が注目する改革への名著が、期待に応えて甦る。
■1943年初版後、改訂第三版が底本
■著者自身による詳細な註記と参考文献、
5つの章末に分けられた補遺を全面的に収録
■山木朝彦氏(鳴門教育大学特命教授)による解説小冊子付き(※2021年加筆版を収録)
私はただ、芸術は苦痛以外の唯一の教師であるという事実に注意を促しているのである。
――バーナード・ショー
今回の全面改訳出版では、1958年の第三版を底本としている。このことは著者自身による第三版への序にもあるように、リードは最初の出版からのちも、関連諸分野の新研究の成果を考慮した加筆を続け、本書を将来にわたって「持続する変革」のための、生きた古典とする意図を晩年に至るまで、持ち続けていたことをうかがい知ることができる。……「生きた古典としてである」。その意味で第三版は、リードが主題とする思想の、未完の果実というべき思想を、未来に手渡す最終形態を示すものといえようか。(略)
これら本邦初訳の資料(五つの補遺、原注、参考文献)を含めて、芸術の原理による教育の根本的変革を求めたリードの思想を、より完全な形で日本の読者に伝えることに心を砕いたが、このことは本書が未来にわたる変革運動の原典として、この日本においても不滅の光を放ち続けることを願い、期待したいからである。
(「本書への接近――解題にかえて(宮脇理)」より)